競馬用語辞典(は行)
競馬に関する専門用語のご紹介です。
50音順一覧
あ行 / か行 / さ行 / た行 / な行 / は行 / ま行 / や行 / ら行 / わ行
配当金(はいとうきん)
的中した馬券(勝馬投票券)に払い戻しされるお金のこと。単に配当ということもある。
拍車(はくしゃ)
馬具のひとつで、長靴のかかとに取り付けて馬の腹に刺激を与えるもの。モンキー乗りが主流の今の競馬では拍車を着けて乗ることは少なくなっているが、天神乗りの時代は拍車を着けることも多く、特にズブい馬には効き目もあった。
一般用語でも刺激や力を加えて仕事の進行を促進させることを「拍車をかける」というが、競馬の社会でもここ一番の勝負のとき拍車を着けたことから、勝負態勢に入ったとき「拍車がかかった」などという言葉を使っていた。
馬券(ばけん)
勝馬投票券のこと。現在中央競馬では単勝式、複勝式、枠番連勝複式、馬番連勝複式、馬番連勝単式、三連勝複式、三連勝単式、拡大馬番連勝複式の8種類の馬券が発売されている。
地方競馬の一部ではこの他に枠番連勝単式も発売されている。
馬体重(ばたいじゅう)
馬の体重のこと。競馬の当日各馬の体重は発走の約70分前に、装鞍所において係員の前で量られ、この計量は下見所(パドック)や場内およびウインズのテレビなどで発表される。
中央競馬では昭和39年から公式に発表されるようになった。現在中央競馬では2キロ単位で量られているが、公営競馬では1キロ単位で量られている。仕上がり具合を見る上でひとつの目安になるので気にする人も多いが、極端な増減がなければ気にしない方がよいようだ。
パット
PAT方式といわれる電話投票のこと。 日本中央競馬会とPAT方式電話投票(A-PAT)に関する約定を結んだ加入者が、携帯電話、パソコンなどの端末機により電話回線を使って競馬会のコンピュータに接続し、 馬券の購入ができる電話投票システムである。
また情報サービスセンターから
開催案内(当日開催される各競馬場の天候、馬場状態)
- 出馬表
- オッズ
- 払い戻し
- 変更情報(出走取り消しなど)
- お知らせ
- 馬体重
- 競走成績
の情報が受けられるようになっている。
パトロールフィルム
レースの模様を各コーナーにある監視塔(パトロールタワー)からフィルムで撮影したもの。
騎手は他馬を妨害することなく全能力を発揮して競走を行い、ゴールインしなければならないと定められており、馬の能力が発揮され、競走中インターフェア(妨害)があったかどうか、騎手の騎乗ぶりはどうかなどを監視するのが走路監視員で、彼らがいる所が監視塔である。パトロールフィルムは進路妨害などがあったと思われる時に参考とされる。
競馬は全レースにおいてパトロールフィルムが撮影されている。
馬場状態(ばばじょうたい)
馬場の状態は水分の含有量によって、『良』『稍重』『重』『不良』の4つに分けられて発表されている。芝、ダートに関わらず馬の能力発揮に重要な意味をもつもので、勝ち馬検討の上では常に注意が必要。「重が下手」という馬はけっこういるが、足先の濡れるのを嫌う馬もいれば、滑る馬場が苦手な馬もいるし、また力のいる脚抜きの悪い馬場を嫌う馬など一様ではない。
雨馬場は重、不良などの状態で水が浮いている、または雨が降り続いた時の馬場。渋った馬場といえば稍重から重程度の多少湿っている馬場のこと。またパンパン馬場というのはパンパンに乾いている馬場ということで、芝では速い時計のでる良馬場のことである。
馬名(ばめい)
競走馬には必ず名前がつけられ、これを馬名というが、どんな名前をつけてよいというものでなく、次のような制限がつけられている。
- 有名な馬の名称・馬名と同じである馬名、またはこれらと紛らわしい馬名
- 父母の名称・馬名と同じである馬名、またはこれらと紛らわしい馬名
- すでに登録を受けている馬名、登録を抹消された翌年の1月1日から4年を経過しない馬名と同じ馬名、またはこれらと紛らわしい馬名
- 奇きょうな馬名
- 明らかに営利のための宣伝広告を目的として、会社名、商品名などと同じである名称を付したと認められ、かつ競走馬の馬名としてふさわしくない馬名
- 1字の馬名もしくは10字以上の馬名 いったん登録した馬名は原則として変更できないが、競馬会が開催する競馬、地方競馬および外国の競馬のいずれの競走にも出走したことのない馬については、1回に限り、馬名を変更することができる。
馬齢重量(ばれいじゅうりょう)
馬齢とは馬の年齢のこと。競走馬の背負う基本的な重量で競馬施行規定の72条に定められている。
平地競走では-
- 2歳9月まで 54キロ、 牝馬 54キロ
- 2歳10~12月 55キロ、 牝馬 54キロ
- 3歳9月まで 56キロ、 牝馬 54キロ
- 3歳10~12月 57キロ、 牝馬 55キロ
障害競走では-
- 3歳 58キロ、 牝馬 56キロ
- 4歳5月まで 59キロ、 牝馬 57キロ
- 4歳6月以降 60キロ、 牝馬 58キロ
となっている。この馬齢重量によるレースを馬齢戦(ばれいせん)といい、一般条件戦では見習騎手に減量の恩典が与えられるレースである。
輓曳競馬(ばんえいけいば)
輓馬が重いそりを曳いて二つの山(障害)のある走路(200メートル)を走る競走。現在は北海道の帯広競馬でのみ行われている。
繁殖牝馬(はんしょくひんば)
肌馬と同じ。仔馬をとるための牝馬のことで、競走馬として能力を出し切った馬、限界にきていると思われる馬、また血統が良くて早く仔馬を欲しい牝馬などは牧場に上がって繁殖牝馬となる。
馬主が売却せず牧場に預けて仔馬をとることを仔分けという。
ハンデキャップ
一般にはハンデといわれているもので、ハンデキャップ競走における負担重量を指す場合が多い。 ハンデ戦は優勝劣敗の競走原理には反するものだが、各馬の機会均等化をはかるもので、ゴール前横一線になるように馬の能力、状態に応じて負担重量を増減して戦う競走である。
中央競馬のハンデキャップの事務は、ハンデキャップ作成委員(当該開催に3名以上)が担当し、普通は月曜日(日曜日に特別登録のある場合)にハンデが決められ発表される。
また、ハンデ戦に登録できる資格として、そのレース以前の一定の期間内に1回以上出走していることが必要と定められている。 これは馬の状態の判断がしやすいことと、近い成績を基準にすることで、より公正なハンデがつけられるからである。
こういった条件を逆用して、目標のハンデ戦の前のレースで勝ち負けを度外視して馬の調整に使うことをハンデもらい(成績が上がらずハンデが軽くなることがある)などという。
非当選馬、非抽選馬(ひとうせんば、ひちゅうせんば)
出馬投票の際に出走申し込み頭数が、出走可能頭数(フルゲート)を超過した場合、一定の資格(資格、賞金、抽選等)によって出走馬を決める。
この時に抽選により出走できなかった馬を非当選馬といい、非当選馬以外の馬(賞金順・出走間隔順等の抽選以外によって出走できなかった馬)を非抽選馬という。
蹄(ひづめ)
馬の球節の下で人間の中指1本に当たり、爪のようにみえる部位をいう。昔から「蹄なければ馬なし」といわれているように、蹄は馬体を支える基礎であり、運動上もっとも大切な部分である。
したがって削蹄、装蹄、また蹄の手入れの良否が、直接、間接に馬の能力に大きな影響を及ぼすものであり、厩舎関係者は裂蹄や蹄の病気にかからないよう、蹄の良好な状態を保つため注意している。蹄鉄は、この蹄の摩耗を防ぐために着けられている。
牝系統(ひんけいとう)
母馬の血統の総称を母系、牝系、あるいは牝系統といっている。「この馬の牝系は○号族」だとか「この馬の母系には○○○○(有名種牡馬)の血が入っている」などと母馬の血筋を表すときに使われる。
この牝系統を系図のようにまとめたものが“ファミリー・テーブル”で、牝系統別にまとめ、成績、生年等を付記し根幹馬までたどったもので、牝系を調べるのに大変便利な書物である。
ファミリー・ナンバー
オーストラリア人のブルース・ロウが19世紀の終わり頃、それ以前におけるイギリスのダービー、オークス、セントレジャーの勝ち馬について、その母系をイギリスの血統書の第1巻までたどり、勝ち馬を多く出した母系の順に第1番から43番までの番号をつけた。
これがファミリー・ナンバーで、血統表の一番下の右端に普通かっこ内に入れ、それを示している。その後アメリカ、オーストラリア、アルゼンチンなどの大レースを勝ちながら前記の順番までのファミリーに含まれないものも出てきたので、この番号は更に追加されている。
作られた当時は番号の若い者ほど優秀とされていたが、現在では若いナンバーが上級ファミリーといえないことは常識となっており、母系を整理、分類する際の索引番号として便利なため、そのまま使用されている。
複勝(ふくしょう)
複勝式勝ち馬投票券のことで、出走頭数が5頭から7頭立ての競馬では2着まで、8頭立て以上では3着までを勝ち馬として払い戻しされる馬券。
配当は低くなるが的中率が高いため固定のファンもいる。なお、4頭以下のレースではこの複勝は発売されない。
服色(ふくしょく)
レースの時騎手が着用する服(勝負服)の色(模様を含む)のこと。色は規定内の13色、表示(デザイン)は輪、一文字、帯、山形(山形、ひし山形、のこぎり歯形の輪または帯)、たすき、縦じま、格子じま、元禄、ダイヤモンド、うろこ、かすり(井桁絣)、玉あられ、星ちらし、銭形ちらし等で、一般に4色以上の使用は認められていない。
馬主は服色を登録して自分の服色で持ち馬を出走させている。また地方競馬においては騎手が各自服色を決めており、自分の服色の勝負服でレースに臨んでいるが、ホッカイドウ競馬の一部のレースに限り、馬主服での出走が認められている。
ブックメーカー
勝ち馬投票方式にはパリミューチュエル方式とブックメーキング方式がある。パリミューチュエル方式はわが国やアメリカで行われている馬券の発売方法で、一定機関が不特定多数の客に売り、定められた比率で控除した残金を配分(払い戻し)する。
一方のブックメーキング方式はイギリスの競馬などで見られるもので、ブックメーカー(公認馬券取扱業者)と客との間で決められたオッズ(賭け率)に応じて配当(払戻金)を受け取る方法。したがって、各馬のオッズはブックメーカーによって一致するとは限らないし、最新の情報などによって刻々変動することもあるが、客は買った時点のオッズによって払い戻しを受ける。
ブックメーカーが営業の対象とする賭は競馬だけでなく、サッカー、テニス等スポーツはもちろん、ミスコンテストなど結果が明らかとなる社会現象まで多岐にわたる。
フリーハンデ
競走馬の格付けのため距離、競走日時、場所など具体的な競走条件に関係なく定められたハンデキャップのこと。
競走馬の能力の物差しのひとつとして一般に利用されている。英国はじめ諸外国でも採用されている制度で、現在は欧州、北米、アジア、オセアニアを対象とした「ワールドサラブレッドレースホースランキング」に発展。
JRAでは毎年1月に前年度の成績に基づいたJPNランキングを発表している。本誌では評論家の山野浩一氏を中心にしたスタッフで地方馬、日本で出走した外国馬を含む全日本フリーハンデとして上半期分を7月に、年度分を1月に2歳、3歳、古馬などに分けて毎年発表している。
分割(ぶんかつ)レース
競走の分割については一般事項の6の2に定められており、要約すると―。競走の取りやめがあり、かつ、一般競走で出馬投票の結果、その競走の条件より下級条件馬を含めないで16頭以上の申し込み馬があった場合、1日の競走数が12を超えない範囲内で、申し込み頭数の最も多い1競走を2競走に分割して行う。
ただし、同一条件の競走(特別競走を含む)が2つ以上あって、そのいずれかの競走に申し込み馬が7頭以下のときは分割はしない。また、申し込み頭数が同数である競走が2つ以上ある時はその優先順位が決められている。
この他にも申し込み馬に不適当な馬がいないかどうか獣医が診断するとか、交替騎手の取り扱い、分割の方法などが定められている。また最後の条項には競走の分割は、実施の結果を考慮して随時廃止することがある。と規定されている。
平地(へいち)競走
障害競走に対して普通の競走を平地競走といっている。以前はトロッターによる繋駕速歩競走が平地競走と区別されていたが、昭和43年に廃止となっている。
障害競走も色々なテコ入れで巻き返しを図られているが、今は平地競走の全盛といえる。また、平場(ひらば)というのも同じ意味に使われることもあるが、これは特別レースに対する一般条件レースをさす場合がほとんどである。
返還金(へんかんきん)
勝ち馬投票券が発売された後、競走から除外された馬があった場合、その馬の単勝式、複勝式及び馬番連勝式ではその馬の組み合わせの投票券のすべてが、同額で投票者に返還金として返される。
枠番連勝式でも1枠1頭の場合は馬番連勝式と同じだが、同枠に出走馬がいて枠が存在する場合は返還されない。このことを馬券の買い戻しともいう。
帽色(ぼうしょく)
騎手がレースの時かぶるヘルメットの色のことで、枠順が分かりやすいようにそれぞれ1枠=白、2枠=黒、3枠=赤、4枠=青、5枠=黄、6枠=緑、7枠=橙、8枠=桃と決められている。
また同枠に同馬主の馬が入った場合外側の騎手は染分け帽(1枠は白と水色、他は枠の色と白の四つ割り(八つ割り)染分け)をかぶる。
本賞金(ほんしょうきん)
1着から5着までの馬主に対して、競馬会から交付される本来の賞金のこと。
出走奨励金、距離別出走奨励賞、内国産馬所有奨励賞、特別レースにおける付加賞などは含まないものである。
本馬場(ほんばば)
実際に競馬の行われる馬場という意味で、芝コースをさす。
ローカル競馬では現在も競馬場の本馬場での調教を行うこともあるが、中央場所の場合は関東は美浦、関西は栗東のトレセンで調教が行われ、競馬場の本馬場が開くことは少ない。
美浦では南のCコースの内側、栗東ではDコースの内側が芝のコースになっている。
本命馬(ほんめいば)
そのレースにおける優勝候補で、メンバー中一番強いと思われている馬。
予想紙の上では◎印で表示されている。中央競馬では現在馬券の主流が連勝式になっているため、2着までにくる確率の高い馬に◎印が付けられることもある。
ホームストレッチ
最後の直線コースのこと。直線の長さは競馬場によって異なる。
平成13年リニューアルした新潟競馬場の芝コースが659メートルと一番長く、東京競馬場が526メートル、阪神競馬場の外回りが474メートル、その他の競馬場は250メートルから400メートルぐらい。